CO2ガスガンの特性とメリット・デメリットを徹底解説

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最近流行りのCO2ガスガン。

CO2は寒さに強く、ハードリコイルを楽しめるというメリットからここ数年で爆発的に利用者の増えているパワーソースです。

今回はそんなCO2ガスのメリット、デメリットをさらっと解説します。

この記事を読むとわかること
  • CO2というパワーソースはどんなものなのか
  • CO2を使うメリット
  • CO2の現状とこれからの展望

CO2と代替フロンの違い

CO2は従来型のパワーソースである代替フロンとはどのように違うのでしょうか?

物質

まずは物質の特性から。

代替フロンはHFC134a、HFC152aを利用します。

これらはオゾン層を破壊しないガスとして1980年代から採用が進み、現在ではカーエアコンなどの主力な冷媒として活用されています。

一方のCO2ガスガンはその名の通り、二酸化炭素を使用します。

HFC 134aHFC 152aCO2
臨海圧力(MPa)4.054.527.38
沸点(℃)-26.1-24.9-78.46

ガスには色々なスペックがあるのでその一部を抜粋してきただけですが、直感的にわかりやすいのがこちらのデータ。

代替フロンであるHFC134a、152aに対して、CO2の方がより低温高圧環境下でのみ液体状態を維持できることが見て取れます。

つまりボンベの内圧は代替フロンよりCO2の方が高いということです。

状態

「CO2は高圧ガスである」という言説が広まっているため、CO2ボンベの内部は空気を入れた風船のような状態であることをイメージしている方が多いと思います。

実際にはCO2ボンベ内のCO2は液化した状態で充填されており、マガジンに挿さっているときの状態は従来型の代替フロンと変わりません

したがって、どちらのガスも射撃前はマガジン内に液体で充填されており、

  1. ハンマーがバルブを叩いて開く
  2. 外気と繋がったガスが気化する
  3. 放出口からガスが一定量噴き出す
  4. スプリングの力で再びハンマーが戻る

という手順で気化するときに膨張したガスを、射撃とブローバックに活用しています。

違うのは気化するときの圧力

より高い圧力で気化するCO2の方が、高い圧力でガスガンを駆動できる=「CO2は高圧である」ということになります。

CO2のメリット

初速が安定している

「CO2は初速が安定している」とよく言います。

「初速が安定している」を言い換えると、

  • 気温
  • 連射
  • 残量

この3点がどのような状態にあっても、同じような勢い・量でガスを吐出できるということになります。

CO2と代替フロンに「安定性」の違いを生み出しているのは熱力学的特性です。

HFC 134aHFC 152aCO2
蒸発潜熱213(20℃)279(25℃)152(20℃)
蒸発潜熱≒気化熱の総量

蒸発潜熱が高いほど、気化する時に奪う熱(気化熱)が大きくなります。

たくさんの熱を奪われたマガジンの冷え幅は相応に大きくなります。

つまり

蒸発潜熱の小さいCO2は気化する時に奪う熱が少ないので、マガジンが冷えにくい

マガジンが冷えると充填されたガスが気化しにくくなるので、生ガスを噴く、動作が渋くなるという問題が生じます。

上記の中だとHFC152aの蒸発潜熱が最も高い=寒さに弱いことが見て取れます。

これが長年サバゲーマーを悩ませている冬のガスブロ問題です。

環境負荷が低い

正直サバゲーマーはあまり気にしていないことかもしれませんが、CO2はエコなパワーソースです。

代替フロンの価格がここ数年で暴騰し、CO2の売り上げが爆発的に増えている背景には環境負荷があります。

HFC 134aHFC 152aCO2
地球温暖化係数14301241
蒸発潜熱≒気化熱の総量

CO2を1とする地球温暖化係数で見ると、代替フロンは100倍以上有害な環境負荷物質であることがわかります。

HFC134aに関しては1430倍の環境負荷を持ちます。

突然ですがここで環境省の資料から引用です。

2029年以 降の削減義務(70%削減。推計約2,100万CO2ーt)を達 成(後略)

引用元:フロン類対策の現状について

こいつぁ困った。代替フロンがあと10年もしないうちに70%も削減になってしまいます。

まともな需要のシフトが起こらないまま、供給量が70%削減されて価格が暴騰しないものなどありません。

ということは代替フロンを使う従来型のガスは今後ものすごい価格になることが想定されます。

ガスガンのガスは生活必需品からは最も程遠い嗜好品ですが、同時に代替フロンはエアコンの冷媒にも使われている生活必需品です。

政府や業界が限られた代替フロンを、どこに優先的に回すかは火を見るより明らかです。

その点環境負荷の低いCO2への規制が訪れるのは遥か先でしょう。

CO2には「規制されない」という大きなメリットがあります。

安い(安くなる)

2022年末の現状ではCO2ガスガンの市場価格は従来型のガスガンより少し高級。

価格帯は1万円台後半からといったところです。

カートリッジの価格は1本100円強から。

ランニングコストは従来型のガスガンと大きく変わりません。

しかし、先述したように、今後代替フロンの規制や自粛は一層厳しさを増します。

サバゲーマーの手元に代替フロン缶が届く頃には欧米のタバコのような価格になるかもしれません。

一方でCO2市場は真逆の動きを見せます。

CO2ガスガンの普及は供給側の価格競争を激化させます

今では1本100円強のカートリッジも、CO2ガスガンの利用者が10倍になれば業界への参入者が増えて半額になるかもしれません。

現在では高級志向、高付加価値志向のCO2ガスガン本体もコスパ重視の客層に合わせてラインナップを変えていくでしょう。

カスタムパーツも今より遥かに豊富になるはずです。

CO2 GBB市場は今まさに価格の下落フェーズに入ったばかりです。

CO2のデメリット

一見メリットばかりのCO2ですが、デメリットも少なからずあります。

安易に飛びつく前にしっかりとメリット・デメリットの両面を理解しておきましょう。

危険性がある

普通のCO2マガジンではこのようなことは起きないのですが、悪名高いAPSのCO2マガジンでは度々爆発報告が上がります。

マガジン内でCO2をあらかじめ気化させておくAPSの方式では、マガジン本体にCO2の激しい膨張圧がかかり続けます。

うん、これはCO2が危ないというよりAPSがヤバいという話なのでここまでですね。

随時充填できない

ここがCO2の1番の泣き所。

現状ではCO2ガスを従来型のガスのようにちまちまリキッドチャージすることができません。

CO2のボンベは刺したら使い切るまで刺しっぱなしです

従来型のガスは10発撃ったら10発分だけチャージできますが、CO2ではそうはいきません。

残量が1発分だろうが30発分だろうが、撃ち切るまでボンベはそのまま。

なので、ゲーム中に「ガスが切れた!」という現象が、従来型のガスガンと比べると圧倒的に発生しやすくなっています。

それが嫌であれば試合と試合の間にボンベが空になるまで空撃ちするなり無駄撃ちするなりしてボンベを空にしてやる必要があります。まあもったいないですね。

デザインの自由度が低い

現状で市場に出回っているCO2ボンベは基本的に12gの統一規格。

マガジンの形状は必然的にボンベの形状に引っ張られます。

例えばガバメントのような、シングルカラムのマガジンは薄さを再現することが難しくなります。

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グロックのようなダブルカラムのマガジンであれば、原型をあまり損ねずに再現することができます。

ガバメント規格のボンベの発売など、デザインの多様性については今後の展開が待たれる部分です。

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