CQB(Close Quarters Battle)は非常にスリリングで奥深い戦闘領域ですが、フィールド内のキルハウスは初心者にとっては非常にとっつきづらい構造物です。
本稿ではCQBエリアに突入する方法に特化して解説していきます。なお、本稿は索敵編の第1回を読了後であることが前提になっています。
CQBへのエントリー(突入)は大きなリスクを伴うアクションですが、人間の視野や反応速度を理解することでリスクを最小化して突入の効果を最大化することができます。
SASを理解しよう
・Speed(高速)
・Aggression(攻勢)
・Surprise(サプライズ)
の略です。
平たく言うと「敵が落ち着いて反撃してくる前に殲滅せよ」という意味です。
CQBエリアの大原則として、ガンロック(銃を敵の出現予想地点に向けて固定)して待ち構えている方が圧倒的に有利です。ひとたびCQBエリアへの突入後はガンロックの奪い合いが戦闘の中心的な要素になりますが、これは次回以降で解説します。
それでは圧倒的に不利なはずの突入側がリスクを最小化する方法を考えていきましょう
CQBエリア突入前
まずCQBエリアの入り口に到着したら仲間と合流しましょう
一人でCQBに突入するのは自殺行為です。クリアしたい角の2倍の人数を用意するのが理想的です。
CQBエリアへの突入時には開口部から見えるすべての角度をカッティング・パイでクリアリングしましょう。開口部正面からCQBエリアの壁面にかけての90°×2をクリアします。
この時点で敵が潜んでいる可能性のある場所は下図の赤い部分だけとなります。この赤の部分をハードコーナーと呼びます。
さあ、ハードコーナーを攻略しましょう。
ハードコーナーの攻略
敵がそこにいるとすれば確実にこちらへ銃口を向けているので、考えなしに突撃すればハチの巣になるのは必至です。
そろ~りそろ~りと侵入する?それもNGです。敵からすればゆっくり銃口が見えて、その次に体が見えてしまうので、その間好きに撃ち放題です。
敵の立場になって考えてみてください。一瞬で何人も突っ込んできたらパニックになりませんか?
一人目(ポイントマン)はハードコーナーに銃を向けながら、最高速で部屋の奥まで進みましょう。
二人目(ウィングマン)は開口部からポイントマンの後ろにピッタリついて侵入後、最短距離でハードコーナーへ進みます。
この方法は敵の銃口を大きく左右に揺さぶることで敵を動揺させると同時に射撃精度を低下させ、生存率を高めるエントリーです。そして、仮に一人目が撃たれたとしても二人目が確実に敵を仕留めることができます。
すなわちSpeedのあるAggressionによってSurpriseを生むというSASの教義に忠実なエントリーであると言えます。
頭数が足りない
CQBに突入したいが2つのハードコーナーに対して自分含めて2人しか確保できなかった時などは、1人が犠牲になる覚悟を決めましょう。
敵は同士討ちを恐れるため、左右に展開したハードコーナーの両方に布陣する可能性は低いです。
その際には開口部の広さに応じて「ボタンフックエントリー」や「クロスエントリー」を活用しましょう。その際、自分が担当したハードコーナーに敵がいなかった場合、すぐに向き直って味方を援護しましょう。
ボタンフックエントリー
ボタンフックエントリーは最速で2つのハードコーナーをクリアできるエントリーです。開口部の縁を軸に、2人が背中合わせで回り込むようにエントリーします。
この方法はタイムラグなく二つの角をクリアリングできることがメリットですが、ハードコーナーの敵から見るとこちらが一直線に並ぶため、味方を援護しにくいのがデメリットです。
クロスエントリー
クロスエントリーは開口部が銃を構えて背中合わせになれないほど狭いときに使用できるエントリーです。開口部の左右に陣取り、突入側のプレイヤー2人が交差するように、なるべく間髪を入れずに突入します。
この方法はボタンフックエントリーに比べて突入時のタイムラグがあるのがデメリットですが、ボタンフックエントリーよりも動的なため、味方を援護しやすいのがメリットです。
駒得という考え方
ハードコーナーの突入方法をご覧になった方は「でもそれって被弾の可能性を排除できていないよね?」と思われたと思います。
その通りです。CQBへのエントリーは常に不利であり、攻撃側での攻略には大きなリスクが伴います。それでもエントリーするのは、サバイバルゲームにおいてCQBエリアがフィールドの要衝に配置してあり、無視することができないからです。
逆にCQBエリアを確保すると自チームが非常に有利になります。そのコストが敵とのキルレシオ1対1であれば、不利な位置と有利な位置を同コストで交換できたことになり、将棋でいえば桂馬を失って飛車を取るような駒得になるのです。
最後に
冷静にCQBエリアへ突入できるようになったらもう初心者卒業といえるでしょう。CQBへの突入には索敵・判断・連携・度胸が求められます。
次回はCQB内での戦闘について解説していきます。