サバゲーマーが恐れる死の故障ピストンクラッシュ、通称ピスクラ。平たく言えば「ピストンがダメになること」です。
ヴーンと鳴ったと思ったらあれ?弾が出ない。そんなときはほぼピスクラです。
電動ガンを取り巻く故障は数あれど、サバゲーマーがピスクラに敏感なのはなぜなのか解説します。
でも大丈夫、対策はちゃんとあります。
ピスクラとは
ピスクラした電動ガンはもう動かなくなるので、直さない限り完全に「死んだ」状態になります。
ピストンが壊れている=スプリングを引けないので、エアは圧縮されず、当然弾は出ません。
ギアだけが虚しく回るようになります。
放置したまま「なぜだ!」と弾の切れた銃をカチカチ鳴らす敵兵よろしく引き金を引くと、クラッシュしたピストンの破片がメカボ内に飛び散って、取り返しのつかないことになります。
メカボを開けられないならショップに出しましょう。
- 弾が出ない時に無理やり回そうとする
- 水没したスマホを振って電源をつける
- 出血して倒れている「仲間」を揺さぶる
この3点は、いついかなる時もやってはいけません。状況を悪化させます。
サバゲーマーはなぜピスクラを恐れるのか
ピスクラ修復は修理の中でもかなり面倒な部類に入ります。
ピスクラすると点検項目がやたら多いです。
まず壊れたピストンを交換するのは当然として、以下の作業をしなければいけません。
- ピストンを交換する
- メカボ内の全パーツを1回取り出す
- メカボ洗浄(破片を取り除くため)
- 構成の見直し
- AOE調整
AOE調整についてはこちらの記事で詳しくやり方を書いています。
だからサバゲーマーはピスクラすると
あああぁぁぁぁぁぁピスクラしたぁぁぁぁぁぁあああああ
と騒ぎ出すのです。
ピスクラを恐れすぎてはいけない
ピスクラは恐ろしい故障ですが、恐れ過ぎは禁物です。
ピストンが最初に壊れるということは、裏返すとピストン以外は壊れていないということです。
ピストンはメカボ内の部品の中でも一番安い部類の部品。
筆者もそうですが、セットアップがおかしいときにはピストンが壊れるように組む人も結構多くいます。
ピスクラしないに越したことはありませんが、ピスクラしたときには
よかった、ピストンが壊れてくれたおかげで他は無事で済んだ
と前向きに捉えましょう。
ギアクラッシュとかメカボクラッシュの方がよっぽど厄介です。
現状の構成が成立していない
サバゲーマーがピスクラを恐れるのは、掃除、交換以外の手間がかかるから。
もっと言うと、頭と時間とお金を使わないといけないからです。
理論上は長期間にわたって箱出しで回し続けることによってもピスクラは発生しますが、99%のピスクラはカスタムや、高電圧でギアを回すことによって発生します。
ということは、電圧を下げたり、カスタム内容を見直したりする必要が出てきます。
とはいえ妥協したスペックにしたくはないのがサバゲーマーの常。なんとかして同じスペックを維持したままピスクラを避けようとすると…
めんどくせえええええええ
となります。
めんどくせえとボヤいているだけでは記事にならないので、もう少し掘り下げて解説しますね。
ピスクラの型・原因・対策
ピスクラには原因によっていくつかの壊れ方があります。
類型に分けて紹介しましょう。
ピストン前部の歯が削れる型
原因 ピストンが弱すぎる
このパターンはスプリングのテンションが最大になる、ピストン後部の歯が削れることでピスクラします。
このタイプのピスクラは症状としては一番改善しやすいので、あまり気に病む必要はありません。
スプリングのテンションに対してピストンの耐久力が負けているだけです。
対策 ピストンを強くorピストンに優しくする
- 強化ピストン(メタル歯など)に交換する
- 長めかつ柔らかめのスプリングに交換する
ことで大概改善します。
ただし、経年劣化で削れている感じではなく、一気にギャーン!と「持って行かれた」感じの壊れ方をした場合は上記の限りではないので以下に進んでください。
ピストン後部の歯が削れる型
極端な話、こんな位置でギアがピストンに噛むような状態になっていると、高確率でピスクラします。
広義のAOE調整の話なのですが、少し原因をブレイクダウンしてみようと思います。
原因①ピストンが遅すぎる
ピストンが遅いと、悪い場合にはページ最下部で紹介するような、セクターギアがピストンを追い越すという現象が発生します。
セクターギアがピストン2枚目以降の歯を引っ掻くとピスクラします。
対策①ピストンの速度を上げる
ピストンが遅いのであれば、手っ取り早いのはスプリングレートを上げることです。
しかし、ピスクラしたからといってスプリングレートを高めると、
- 初速オーバー
- レスポンス・サイクル低下
- メカボへの負荷増加
- ピストン本体への負荷増加
などの弊害が発生するので、1個ずつ潰していきましょう。
- 初速オーバー→インナーバレルカット
- レスポンス・サイクル低下→モーター交換など
- メカボへの負荷増加→割れ対策など
- ピストン本体への負荷増加→強化ピストンなど
その他のピストンの加速方法はこちらまで飛んでください。
原因②ピストンのバウンド
どうやってもピストンは多少バウンドします。
超高サイクルを狙っている場合、バウンドが収まる前に次のサイクルが来てしまうことがあります。
バウンド中にセクターギアが当たるとどうなるかもうお分かりですね。
こうなります。対策しましょう。
対策②-Ⅰ バウンド対策
バウンド対策その1は更なるスプリングレートのアップによって、ピストンヘッドをシリンダーヘッドに押し付けます。ちなみに非推奨です。
じゃあ紹介するなよ
モアパワーで解決するので、先述した弊害と対策の内容がより大きくなります。
あえて最初に紹介したのは、スプリングのパワーのみでなんとかしようとする人が結構多いから注意喚起も兼ねてです。
バウンド対策その2、は同じ勢いでピストンヘッドがシリンダーヘッドにあたってもバウンドしにくいよう、衝撃を吸収する加工を施す対策が可能です。
リンク先でやり方を解説していますが、AOE調整のついでに、衝撃吸収に優れたハネナイトを貼り付けることでバウンドしにくいシリンダーヘッドを作るというカスタムです。
このカスタムは結構定番で、ショップなんかでも取り入れているケースが多いです。
対策②-Ⅱ バウンド前提で余裕を作る
バウンドしているピストンに次のセクターギアが来てしまうからピスクラします。
それならバウンドすることは受け入れてあげればいいじゃないという発想です。
バウンドしている時間はほんの一瞬で、距離は数ミリです。なので、時間的、空間的余裕を少し作るだけでピスクラかなり回避できるようになります。
余裕の作り方としては
- サイクルを落とす
- ピストンの歯を削る
- セクターギアをカットする
この3点があります。
サイクルを落とすとなると抵抗がある方もいるかもしれませんが、ぶっちゃけ超ハイサイクルだから取れるヒットってそんなにないと思います。
それを言ったらおしまいだろ
サーセン
7.4Vリポでサイクルを落とすなら、ハイトルク、ロースピードモーターがおすすめです。
筆者のおすすめはG&Gの17Kバジリスクモーター。
こいつは超低サイクルなので、万が一これで回してピスクラするならどう考えてもAOE調整がおかしいか、スプリングレートが高すぎます。
お次はピストンの歯のカット。
これは空間的な余裕を作るアプローチです。
ピストンがバウンドするとしても、バウンドした後に1枚目の歯どうしが噛み合ってくれれば何も問題はありません。
ピストン2枚目の歯をリューターでゴリゴリ削っちゃいましょう。
大丈夫、ピストンの歯は削って使うもの(調教済み)です。
2枚目の歯を削ることで、多少バウンドしていてもセクターギアの歯がピストンに引っ掛からなくなるので、ピスクラのリスクを軽減することができます。
ピンボケが酷いですが、2枚目の歯を半分くらい削るのが定番です。
削るのが面倒であれば、最初から削られたピストンも売られています。
最後はセクターカット。
これまたリューターでゴリゴリいくか、既製品のカット済みセクターギアを使うかの2択です。
セクターギアをカットすると、ピストンの打撃から次のセクターギアがピストンに当たるまでの時間がカットしたギア分伸びます。
セクターカットの副産物として
- サイクルアップ
- レスポンスアップ
- 初速の低下
が発生します。モーターとかスプリングでお好きな塩梅にしてください。
ピストン丸ごと崩壊型
あまり多くはありませんが、ピストンが木っ端微塵に砕けることがあります。
原因 ギアロックでギアが勝利
DSGなどの高負荷カスタムで時折発生します。
メカボの中はぐっちゃぐちゃだし、途方に暮れるやつです。
通常はギアのトルクが抵抗に勝てずロックするだけなのですが、ハイトルクモーターにハイレートバッテリーなどを使っていると、トルクがピストン本体の剛性を上回ることがあります。
すると「バキャーン」とピストンが木っ端微塵に壊れます。
対策
できることは2つ、
- ピストンのスピードを上げる
- サイクルを落とす
このいずれか、もしくは両方です。
ピストンのスピードを上げるためにできることは以下の3点。
- スプリングレートアップ
- ピストンの軽量化
- グリスアップ
ピストンに肉抜きをするのは現実的ではないので、ピストンヘッドに入っている重量物となる金属を取っ払ってしまいましょう。
グリスアップする際には、メカボとシリンダーを綺麗にしてからシリコングリスを薄塗りします。
筆者がピスクラについて解説できることは以上になります。
ピスクラしたサバゲーマーの手助けになれば幸いです。