電動ガンを静音化しよう

DIY
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軽装で撃ち合いを楽しみたい派の管理人
車と銃で火の車なのであの手この手で節約を試みている

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フィールドに行くとすこぶる静かな銃で「シュコッ シュコッ」とキレのいい射撃をする人がいて羨ましいと思いますよね。それなのに自分の電動ガンは「ウィパン!ウィパン!」とうるさいし、なんか動きはもったりしている。

「自分の電動ガンもあの銃みたいに静かでツヨくしたい!」というわけで静音化カスタムを紹介していきます。

使うのは大人気のアークタウラスソードです。

当然ながら、カスタムは自己責任で行なってください。初カスタムの場合は二束三文で投げ売りされている中古のM4スポーツラインをいじるという手もあります。

電動ガンの音とは

音源

電動ガンには構造上、4つの音源があります。

  1. モーターがギアを動かすときのギア鳴り
  2. ギアが次のギアを動かすときのギア鳴り
  3. ギアに引っ張られたスプリングが動くときのバネ鳴り
  4. スプリングに引かれたピストンが前進してシリンダーヘッドに衝突したときの打撃音

それぞれ異なる音を出すので、静音化したい場合には全体のバランスを取りながら音源を潰していく必要があります。音源の特定については後述します。

音源を特定しよう

基本的に、適切なセッティングがされていない部品があれば、音源ごとに特徴的な音が鳴ります。自分の銃を撃ったときに、以下のどの音が鳴っているでしょうか?

音によって内部で発生している現象が異なるので、耳を澄まして自分の銃から出ている音を聞いてみましょう。

ギャンギャン/ギャリギャリ音

  • モーターとベベルギアの噛み合わせ/ベベルギアのシムが適切ではない
  • ヤバいグリスが使われている/メカボ内に異物が入り込んでいる
  • スパーギア/セクターギアのシム調整が致命的にうまくいっていない

自分の電動ガンがギャンギャンギャリギャリ言っている場合は、静音化云々の前に早く手を打たないとギアクラッシュなど、非常に面倒な故障を起こす恐れがあります。

メカボを取り出してメカボ洗浄+グリスアップ+シム調整をするか、DIYの自信がなければショップカスタムに出しましょう。

ビヨンビヨン音

  • スプリングがビヨ〜ンと鳴っている

ギャンギャン音ほど深刻ではありません。箱出しの電動ガンにはスプリングレートが高くて全長の短い等長スプリングを使われていることがよくあり、それが伸び縮みするたびにビヨンビヨンと鳴っているだけです。同程度のスプリングレートの不等長スプリングに交換すればだいぶ改善します。

パンパン音

  • ピストンがシリンダーヘッドに当たる音

普通の電動ガンであれば多少はパンパン言います。というか全く鳴らないとするとピストンが前進し切っていないので全然初速が出ないはずです。しかし、これがバチーン!バチーン!と鞭を打つような音の場合は要注意です。スプリングが強すぎたり、シリンダーの容積が合っていない可能性があります。放置して使い続けると、最悪ピストンクラッシュなどを起こします。

静音化の考え方

MUTE

静音化には大きく分けて三つのアプローチがあります。

長い銃でセミオートを使う

「おい身も蓋もないこと言うなよ」とか言わないでください。

フルオート、特にハイサイクルと静音は真逆の性向があります。

「ハイサイクルで短くてめっちゃ静かな銃が欲しい!」に応えてくれるショップはありますが、筆者はサバゲーオタクであってカスタム屋ではないので、そんな理想的なカスタムのレシピは知りません。ガンスミスってすごい(投げやり)。

東京マルイのハイサイクル電動ガンを見ればわかりますが、ハイサイクルにすればするほどバレルを切り詰める必要があります。

エアガンの構造は原理的には吹き矢と同じなので息継ぎが必要です。「バレル長=息の吐出量」なので、素早い息継ぎを可能にするためにはバレルを短くして一回あたりの吐出量を抑制する必要があります。

バレルが短いということは、メカボックスで発生した騒音がバレルを出るまでに消音する空間が短いということになります。

また、バレルが短いということはBB弾を押し出す空気量が少ないということ。空気量が少ないため同じ初速を出すためには速い空気を送る必要があり、そのためにはピストンを強いスプリングで押す必要があります。

 

沼の精
沼の精

だから長い方が静かなんです。M14とか静かですよ。

音を短くする

音を短くするのは一つの静穏化のアプローチです。デシベル値が同じでも、音が発生している時間を短縮すれば、その分だけ体感の騒音は減少します。

つまりレスポンスの改善です

レスポンスの改善にはいくつかの方法があります。ここで書くと長くなるので後述します。

レスポンス改善特化の記事はこちらから

音を小さくする

本命です。あの手この手で静音化していきましょう。

静音化してみよう

レスポンスアップ

まずはレスポンスアップで音の発生時間を短縮しましょう。

レスポンスアップのために行う作業は以下の2点です。

  • バッテリー交換
  • モーター交換

レスポンスだけを全力でカチ上げるのであれば電子トリガーを組むとか、11.1vバッテリーを使うという手もありますが、ギア比の変更や電子トリガーの組み込みになると手を加える必要のある部品が加速度的に増えてしまうので、本稿では上記の2点だけにします。そもそも目的はキレッキレな銃を作ることではありません。

バッテリー交換

最初に見直すべきはバッテリーです。8.4vニッケル水素バッテリーを使っているのなら、7.4vリポバッテリーに乗り換えましょう。

公称電圧の高いニッ水よりリポの方がパワーがあります。その辺はウンコに例えながら解説した記事があるので時間があればご一読ください。

銃を買ったときにパッと手に取った、1000mAh 20Cくらいのバッテリーを使っているのであれば、1500mAh 30Cなどのバッテリーを使ってみましょう。トルクが変わります。

ハイテック XPOWER R-SPEC AIR ELECTRIC GUN BATTERY Li-Po 7.4V 1500mAh 30C 2S 日本正規品
ハイテック マルチプレックス ジャパン(Hitec Multiplex Japan)
モーター交換

モーター交換は最も手軽にレスポンスを改善する方法です。

お金があるならサマコバを突っ込んでおけばOKなのですが、サマコバは少し値が張るので代わりのモーター候補もご紹介しています。

筆者は20年落ちのスポーツカーを維持しながらサバゲー沼にハマるという地獄のような自転車操業をしているので、この手の安物買いはお手のものです。

安い中華銃のレスポンスアップを狙うのであれば、EG1000で十分なのですが、今回はAirsoft97のイナズマモーターを使ってみました。ピニオンとベベルギアの相性もよく、キレのいい動きをしてくれています。
最後に動画を貼っていますのでご覧ください。

静音化カスタム

サイレンサー取り付け

一番簡単な外装カスタムです。フラッシュハイダーを外してサイレンサーに取り替えるだけです。全長は少し伸びてしまいますが、マズル方向からの騒音を大幅に軽減することができます。

電動ガンは構造上、インナーバレルだけがメカボックスと外気を繋いでいるため、マズルから出る騒音を潰すことで大きな消音が期待できます。これは実銃と同じです。

サイレンサーを買うときは消音材が入っているものを選びましょう。ショップでアクセサリーとしていい感じの筒が売っていることもありますが、いい感じの筒だと当然消音効果はありません。

メカボ洗浄・シム調整・グリスアップ

ここまでの対策で満足できない場合、面倒ですがメカボックスを開けてみることになります。メカボックスの開け方と部品名称の解説は他のサイトで無限にされているのでここでは割愛します。

シム調整とグリスアップにあたってはライラクスのシムマルイのグリスを使っておけば基本的にはOKです。

分解したら、部品はダイソーで売っているケースに入れておくと組み忘れや紛失を予防できるのでおすすめです。

やり方については一本の記事になるので別で記すことにします。

スプリング交換

ウィン!とかバイン!という音がなる場合はスプリングを変更してみると改善する場合が多いです。

色々試して、KM企画の3点可変圧0.9Jがちょうどいい初速+静音性だったのでこれにしました。

海外製の電動ガンはスプリングカットで日本向けの初速に調整している場合が多く、そうすると本来の銃のセットアップと異なるスプリングレート/長さになっており、メーカーが海外の工場で作っている時とは異なる音が鳴ります。

シリンダーヘッド交換

最初に述べた打撃音の改善に入りましょう。モノ同士がぶつかるならば間にクッションを挟んでやれば音は消えるはずです。

Sassow様がピストンヘッドなどにゴムを切り貼りして静音化に挑戦されていました。ちゃんと結果を出されていて素晴らしいのですが、個人の工作の器用さに依存するのと、定期的にメカボックスを開けてダンパーが剥がれていないことをチェックする必要があるので真似はしないことにしました。

ピストンヘッドやシリンダーヘッドにクッション材を貼り付ける手法は昔からありますが、剥がれる可能性があるので今回は不採用です。

筆者はカスタムが好きなわけではないので、箱出しでずっと遊べるならそれに越したことはないと思っています。メカボ開けるのめんどい(ブロガーとして最高に意識の低い発言)。

沼の精
沼の精

その点マルイの次世代はすごいよ。何もしなくていいんだもん。

というわけで調達してきたのがこちら。

純正のシリンダーヘッド(右)と比べてみるとピストンヘッドと衝突する部分にダンパーが貼ってあるのがわかります。この樹脂で打撃音を吸収してやろうという設計です。類似品は他にも色々あります。全部試したわけではないので他のサイレントダンパーとの違いはわかりませんが、筆者にとっては良い結果になりました。

沼の精
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このシリンダーヘッドを組み込んだところ、嬉しい誤算が起きました。

このシリンダーヘッドは純正のシリンダーヘッドよりも僅かに外径が大きく、かつアルミ製でシリンダーに組み込むのがかなりキツキツだったので、ゴムハンマーで軽く叩いて半ば圧入しました。

このきつさがシリンダーの気密を高め、図らずも初速アップ(0.2g弾で3m/s)と静音化することができました。

気密が高まったことでピストンヘッドとシリンダーヘッドの間の気圧が高くなり、空気がクッションとなったことで打撃音がやや軽減されたようです。

静音化において気密アップは大切
気密が稼げていると、二つの点で静音化に有利です。
  1. 音を乗せて外に漏れる空気が減る
  2. 少ないエアで同じ初速が出せるので、スプリングを弱くできる

つまりそもそも出る音は小さくなるし、出た音も外に出にくくなるというわけです。

カスタムガチ勢の皆さんはこの辺の味付けが上手なんだと思います。

理想はシリンダーからマズルまで、一切のエア漏れなく弾を発射することです。

それができれば最低限のエアとスプリングレートで電動ガンを運用できるため、部品への負荷も小さくなり、レスポンスアップや静音化がよりしやすくなります。

フルシリンダー化

打撃音対策として、シリンダーをスタンダードM4用の加速シリンダーからフルシリンダーに変更しました。

ピストンでピストンヘッドを強く叩けば大きな音が鳴るので、そこがなるべく優しくなるようにシリンダー速度の上がりにくいフルシリンダーを選びました。

上が今回買ってきたシリンダー、下が純正シリンダーです。

フルシリンダー化で期待される静音化はもう一点あります。

それは加速ポートからの音漏れを防ぐことです。

初速は犠牲になりましたが、気密上げで初速が上がりすぎていたのでちょうどいい調整になりました。

最終的にこうなった

ガンスミスからすれば「まだまだやれることはあるだろう」と思うはずですが、

  • 誰でも
  • お手軽に
  • 既製品の組み合わせで

静音化することをテーマに組んだので、本稿はここで終わろうと思います。他にも思いついた静音化カスタムがあればぜひやってみてください。

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