フォアグリップの装着はエアガンカスタムの第一歩としてほとんどの人が行っています。本稿ではそれぞれのフォアグリップがどのように操作性を改善してくれるのか解説していきます。
フォアグリップ一つとっても、その銃の使い方と性格を考慮して装着することでサバゲー中にアドバンテージを取ることができるようになります。
フォアグリップの歴史
フォアグリップはハンドガードに取り付けるアタッチメントで、射手による銃の保持をサポートします。
人間の手首はライフルを構える動作、つまり体から垂直に伸びた棒を掴む動作に最適化されていません。しかし銃が前方に弾を飛ばす構造をしている以上、銃身を支える必要があります。
そこで登場したのが、じゃんけんで「グー」を出す時のような姿勢で銃を構えられるフォアグリップです。その歴史は古く、第二次大戦前に生産が開始されたトンプソン短機関銃までさかのぼることができます。
さらにさかのぼれば弩も地面に対して垂直に引き金を引くように設計されています。

構えやすさ=銃の運動性能は第二次大戦期に登場する短機関銃でも重視されており、ドイツが採用したMP40は銃身から垂直に伸びたマガジン上部をバーティカルフォアグリップのように握る設計になっています。

その系譜は当然戦後にも引き継がれ、短機関銃だけでなくアサルトライフルにも採用が拡大していくことになります。


そして現代、様々なハンドガードのレールシステムが誕生し、それに対応する様々なフォアグリップが販売されています。かつて銃と一体だったグリップが分離し、モジュール化して多様化しているのが現代のグリップ事情であると理解していただければ結構です。
現在流通しているフォアグリップは大きく分けて三つのタイプに分けられます。
以下でそれぞれの特徴と商品を紹介します。写真は筆者の私物ですので汚いのはご容赦ください。
バーティカルフォアグリップ

バーティカルフォアグリップはその名の通り、ハンドガードにバーティカル(垂直)に取り付けるフォアグリップです。このフォアグリップは長い銃を短く(小さく)構えるのに役立ちます。
銃を構えたら、グリップを握ってグッと身体の方へ引き寄せます。そうすると、カービンライフルのような長いライフルを使っていても「閉所ではグリップを握って振り回す。ロングレンジではコスタ撃ちで精密射撃」という使い分けができるようになります。
筆者は10インチ以上のハンドガードのライフルにはCQB用にバーティカルフォアグリップを付けています。支点と力点の関係から、バーティカルフォアグリップを握って銃を撃つと射撃精度は下がります。
ざっくりまとめると…
・銃を振り回しやすくなる
・長めのライフルと相性がいい
アングルフォアグリップ

アングルフォアグリップは人体光学に基づいてハンドガードを握りこみやすくするために開発されたグリップです。
基本的な構え方はグリップを装着していない状態と変わりませんが、銃を構えた状態での操作性が向上します。具体的には裸のハンドガードを持っているときよりもグリップが向上し、手首への負荷が軽減されることで銃を振り回しやすくなります。
デメリットとしては、上図のように10インチハンドガードにAFG2タイプのアングルフォアグリップを装着するとグリップを握る以外の構え方はほぼできなくなります。
ざっくりまとめると
・動かしやすくなる
・他の持ち方はしづらくなる
ハンドストップ

ハンドストップは最低限の重量でハンドガードを握る動作を補助するために装着するアタッチメントです。
ハンドストップにはいくつかの形状がありますが、基本的には握りこむ角度を変えずにハンドガードを握る指を引っかけるポイントを作るという共通点があります。
多くの場合、レールと並行する部分には滑り止めの凹凸加工が施されており、後端の小指が当たる部分が出っ張って手が後ろ側に滑るのを防ぐように作られています。
20mmレールでももちろん有用ですが、表面がすべすべしていて普通に握ると前後に滑りやすいKeymodやM-Lokのハンドガードで特に有用なアタッチメントです。
ざっくりまとめると
・軽い
・銃の構え方は変わらない
フォアグリップ選びの注意点
ブランドを合わせよう
フォアグリップを選ぶ際に、自分の用途に合うタイプのグリップが見つかったら、他のアタッチメントとブランドを合わせることをおすすめします。
ブランドとは、MAGPUL, BCM, Strike Industriesなどの銃器メーカーです。一度銃をカスタムし始めるとその他のパーツもいろいろと交換したくなるので、将来的に自分の愛銃をどんな形にしたいかを考えてパーツを選ぶのがいいと思います。
上記のブランドは様々なパーツを発売しているため、レプリカも含めて選択肢がいろいろとあります。
レプリカor実物
サバゲーで使う分にはグリップはレプリカでも十分です。ガスブローバックガンであってもリコイルはたかが知れていますし、最悪少し緩んだとしても1ゲーム終わったら六角レンチで締め付ければOKです。
しかし完璧な剛性や質感を求める場合は実物を購入した方がいいでしょう。ストックなどと合わせて実物パーツで構成したエアガンを完成させると、全体的な完成度が格段に高まります。それにかかる出費に対して当サイトで責任を負うことはできませんが…
規格に注意
グリップはライフルのハンドガードの規格をよく確認してからご購入ください。
M-Lok
Keymod
おすすめのフォアグリップ
以下はレプリカです。より高いディテールや剛性を求める方は実物をご検討ください。
おすすめバーティカルフォアグリップ
①MAGPUL MVGタイプ


超定番のフォアグリップです。CTRストック、MOEピストルグリップ、ハンドガードなどと合わせると一気にマグプルコンプリートガンになります。
筆者は手元のHK416Cに付けて使用しています。
②BCM Gunfiterタイプ
最近実銃メーカーでありながらエアソフトガンを発売し、そのクオリティの高さに話題になっているBCMのフォアグリップです。こちらも日本に流通している部品を使って自前でBCMコンプリートを作れるメーカーです。
③グリップバイポッド


各国軍隊の装備を模倣するスタイルの場合、バイポッドグリップは有力な選択肢です。部隊ごとに色々なグリップが配備されていますが、近接戦闘と精密射撃を両方こなせるグリップバイポッドは採用例が多くなっています。
おすすめアングルフォアグリップ
④MAGPUL AFG-2タイプ


AFG-1とAFG-2がありますが、筆者の個人的な趣味でAFG-2をおすすめしています。こっちの方がすっきりしていてかっこいい(主観)んだもん。筆者はこれをMk18 mod.1に装着しています。
こちらも上記のMVGタイプグリップと同じように、マグプル社製品で統一すると統一感が出ます。
⑤FAB DEFENSEタイプ
FAB DEFENSEタイプのアングルフォアグリップはMagpulのグリップよりも握る部位が湾曲しており、個人差はありますがより人間工学に基づいたフォルムになっています。
FAB DEFENSE社は他にもかなり凝った造形のパーツを販売しており、レプリカも流通しています。このメーカーでコンプリートを作っている人はあまりいないので、興味がわいたら揃えてみてもいいでしょう。かなり個性が出ます。
⑥FORTIS SHIFTタイプ


FORTIS社のSHIFTフォアグリップはバーティカルフォアグリップもありますが、その特徴はアルミを用いて剛性を確保しつつ、極限まで肉抜きすることで軽量化されたフォルムです。
同社のパーツはどれも非常にエッジの効いたデザインをしており、普通のARを異色な存在に仕上げることができます。
おすすめハンドストップ
⑦ MAGPUL XTMタイプ


またMAGPULかよ!って言わないでください。シェアが大きくていずれも定番なんです。
XTMスタイルのハンドストップはレールパネルと組み合わせると4面20mmレールのハンドガードをスムーズかつ握りやすいMAGPUL風味のハンドガードに変身させることができます。
⑧Strike Industriesタイプ


このタイプのハンドストップには滑り止めが施されており、曲面加工されたkeymodなどの滑りやすいハンドガードを使用していても滑らずにガチっと握ることができます。
ハンドストップとアングルフォアグリップの中間のような存在です。
⑨ARISAKA Defense タイプ


最もシンプルにして必要十分なハンドストップがARISAKAタイプのハンドストップです。
ハンドガードを握った小指を引っかけるだけ。それだけ。でもそれがいい。他のアクセサリーとも干渉しづらく、銃を選ばずに装着できるというメリットがあります。
ちなみにARISAKA Defenseは日系アメリカ人が創業したブランドで、禅の精神を取り込んだようなシンプルなデザインのプロダクトを作っています。
最後に
上記以外にもフォアグリップにはたくさんの種類があります。
気になるブランドで統一するもよし、好きなパーツてんこ盛りにするもよし、カスタムの第一歩なので存分に迷って選んでみてください。
また、グリップカスタムをしたら今度はハンドガードや内装カスタムにも手を出してみてはいかがでしょうか?