内部カスタムのトレードオフ条件

DIY
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車と銃で火の車なのであの手この手で節約を試みている

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電動ガンの性能に満足できなければ内部カスタムに手を出すことになります。

しかし、カスタムを施せば簡単に思い通りの性能の一挺を手に入れられるというわけではありません。

本稿では具体的なカスタムのレシピではなく、「ここを伸ばすとここが縮むよ」という原則的な性能の交換条件の考え方を解説します。

気密取りは前提になっているので本稿では省略します。

最初に結論

結論から言うと、電動ガンの性能アップを狙うカスタムは、以下の5項目に合計15ポイントのトークンをどう割り振るかというステ振りだと思っていただいて結構です。なおコストは度外視します。

持ち点15

初速   

レスポンス

サイクル 

静粛性  

信頼性  

たとえば東京マルイのスタンダード電動ガンの場合このような感じに仕上がっています。

 

マルイスタンダード

初速   

レスポンス

サイクル 

静粛性  

信頼性  

もうこれは全国で5兆回ぐらい言われているので今更言うことではありませんが、マルイの電動ガンは明確な目的地がないままいじらない方がいいです。

私たちが素人がやるカスタムなんて日々多額の研究開発費を投入しているマルイからすれば

烈海王、個人的には柴千春の次に好き

ってな話な訳です。それでは個別のスペックを上げると何が犠牲になるかを見ていきましょう。

初速UP

自分の電動ガンの射程距離が物足りないときにいの一番に思いつくのは初速UPです。

カスタム内容
  • タイトバレル化
  • (シリンダー容量とインナーバレル長の変更)
  • スプリングの変更

気密が取れている上で初速をちょっとでも手軽に稼ぎたい場合は、チャンバーを取り出すだけでいいタイトバレル化(6.03mmなど)が楽です。BB弾を追い越すエアが減って、その分のエアが後ろからBB弾を押すようになるので初速が上がります。

さらに初速を稼ぎたい場合はシリンダー容量:インナーバレル容量が2:1になるように調整し(多くの銃では既にそうなっていますが)、最後は硬めのスプリングでぶっ飛ばすことになります。

基本的に流速or超ハイサイクルカスタムでない限り、そんなに強いスプリング(M100以上)は不要なはずです。筆者は普通のカスタムをする限りM80〜M90しか使いません。

一般的なデメリット
  • サイクルDOWN(シリンダー・スプリング交換の場合)
  • 静粛性DOWN

柔らかいスプリングでピストンをゆっくり押してやるのが電動ガン本体への負荷を考えるとベストです。高い初速を出したければシリンダーの容積を増やしてインナーバレルを長くすればOKです。

しかし、それに加えてハイサイクルを実現しようとすると、スプリングが追いつかずにピストンクラッシュを起こします。

少し雑ですが、「柔らかスプリング×ハイサイクル=ピストンクラッシュ」と覚えておいてください。

 

スプリングで初速を稼ぐ場合、スプリングに押されたピストンヘッドが激しくシリンダーヘッドに当たることになります。その際には「バン!」という打撃音が発生します。

当然これは内部パーツの寿命を縮めているのと同時に騒音を増加させます。

解決策
  • スプリング強化+バレルカット(流速チューン的なもの)
  • あの手のこの手で静粛化

高初速+高サイクルを両立させたい場合、モーターやギア比でサイクルをキープしたら、サイクルに追いつける反発力のスプリングを用意する必要があります。

すると今度は初速が上がりすぎるので、加速力をオミットするためにインナーバレルを太く、短くします。これに長掛けホップを組み合わせれば流速チューンの完成です。

ちなみに流速チューンは爆音なので静粛性などどこ吹く風です。

サイクルUP

カスタム内容
  • ハイスピードモーターへの変更
  • ハイスピードギアへの変更
  • バッテリー・配線強化

サイクルアップはかなり慎重に部品を入れ替えながら行わないとリスクの高いカスタムです。例えばスプリングが柔らかくてインナーバレルの長いスタンダードAKにハイスピードモーターだけ突っ込むとピストンクラッシュしやすくなります。

先述しましたが、「柔らかスプリング×ハイサイクル=ピストンクラッシュ」です。

ハイスピードモーターへの交換はハイトルクモーターへの交換とは訳が違います
ハイスピードモーターを組み込めば、それについてくるギアとスプリングの設定にしなければピストンクラッシュを起こします。
一般的な電動ガンに入っている18:1ギアセットとスプリングのまま、モーターとバッテリーだけでサイクルを押し上げると、ある地点でピストンが前進しきる前にセクターギアが当たってしまうようになります。そうするとぶっ壊れます。
一般的なデメリット
  • レスポンス低下(ハイスピードギアの場合)
  • 初速低下(DSGの場合)
  • 故障リスクの増大

東京マルイをはじめとしたメーカーのスタンダード電動ガンに搭載されている、純正の18:1ギアを13:1ギアなどに変更すれば、トップスピードは上がりますがレスポンスは低下します。原理的には自転車の6速では1速のように発進できないのと同じです。

また、ハイサイクルの故障対策を施すと初速は低下します。ハイサイクルで運用する際には

  • ギアがピストンを追い越さないようにする
  • バレル内で空気詰まりが起きないようにする

の2点に気を配る必要がありますが、どちらも初速を犠牲にします。前者はピストンの引っ張り量を減らすので使えるエアが少なくなり、後者はバレルをカットするのでBB弾の加速レーンが短くなります。

解決策
  • DSGの導入、セクターカット
  • バレルカット
  • スプリング強化

DSG=ダブルセクターギアの導入や、セクターギアの歯をカットすることで故障対策とレスポンス改善が同時に行えますが、これは必然的な副産物と言った方がいいかもしれません。

スプリングの強化もハイサイクルを実現するためには必然的に必要になるカスタムです。

レスポンスUP

カスタム内容
  • モーターの変更
  • ギアのカスタム
  • バッテリーの強化
  • プリコックカスタム

一番手軽なのはバッテリーを高Cレートのリポバッテリーにすることです。

あくまで経験上なので絶対とは言えませんが、スタンダード電動ガンのバッテリーは7.4V 1200mAh 30Cくらいまでならあまりオーバーランやバーストを起こさずにレスポンス、サイクルを無理なく向上させられます。
40Cを超えると、ワッテージが11.1V並になってくるので慎重な運用が必要です。

次に手軽なのはモーターの交換です。

ギアの相性が良ければグリップの蓋を開けて、交換するだけです。

東京マルイの電動ガンは基本的にいじらない方がいいのですが、スタンダード電動ガンに搭載されているEG700や次世代のEG1000は少し力不足でセミロックを起こすことがあるので、同社のサマリウムコバルトモーター(通称サマコバ)を投入するとレスポンスが劇的に改善します。

サマコバは鬼トルク低速モーターなので、他のハイスピードモーターのようにメカボ内の破損リスクを最低限に抑えながらレスポンスを改善することができます。

現在ほどモーターの種類が多くなく、性能を上げたければメカボの中をいじり回すしかなかった時代はギア比とストローク量でトルクを稼ぐのが一般的でした。

普通のギアとモーターでも、強引にレスポンスを改善できるのは電子制御を利用したプリコックカスタムです。

プリコックできる電子トリガーユニットは電動ガンが一本買えるくらいの価格です。

「どうしようもなく好きな銃を、金に糸目はつけないから超キレッキレな性能にしたい」という強い思いがあるなら選択肢になります。

一般的なデメリット
  • サイクル低下(高トルクギアの場合)
  • 初速低下(DSGの場合)
  • ギアとの相性問題(モーター交換の場合)

先述したように、サイクルとレスポンスはSSG(シングルセクターギア)で運用する限り相反する性能です。電動ガンに変速機能を詰め込むことはできないのでこればかりはどうしようもありません。

DSGはハイサイクルとハイレスポンスを両立させるカスタムパーツですが、ピストンの引き代が減るので初速が犠牲になります。

注意点は、組み込みの注意点と難易度が記事一本分くらい高いので慎重な作業が必要になります。

モーターは付属しているピニオンギアの形状が純正モーターと違うと、ギャリギャリ鳴ったり最悪回らなかったりします。

解決策
  • ハイトルク・ハイスピードモーターでゴリ押し(ギア交換しない場合)
  • スプリング強化(DSGの場合)
  • ピニオン交換(モーター相性が悪い場合)

静粛性UP

電動ガンの静音化は、個人レベルではカスタムのフロンティアです。ショップにはノウハウがあるようですが…

ハイサイクル化やハイレスポンス化は「この部品を組み込んでこうすればこうなる」というロジックがあり、そのための部品が販売されていますが、静音化に限っては「こうすりゃ静かになるんじゃね?」という方法の試行錯誤が繰り返されている段階です。

それもそのはず。何百兆円もの物的・財的資本と数十年の研究開発ノウハウを持つ自動車メーカーでさえ、車を組んでから実際に道を走らせて「なんか変な音がするからパネルの裏に不織布でも貼ってみようか」とか言っているんです。

一般的なデメリット
  • トライ&エラーで頭がおかしくなる
  • サイクル低下

先述のように、銃ごとに特性や設計が違うのでトライ&エラーを繰り返すしかありません。

シム調整とレスポンス改善で音の発生時間が短くなるため、体感の発射音が抑制されるという共通項はありますが、そのくらいしか全銃共通で語れる静音化ポイントはありません。

ピストンヘッドの加工に全てを託してレスポンスとサイクルを取りに行くカスタムも、方向性としては存在します。

基本的に【サイクルが高い=スプリングが強い=打撃音が大きい】なので、SSGで加工する限りサイクルは犠牲になる傾向があります。

解決策
  • 折れない心を持つこと

滝行とかがいいんじゃないでしょうか。急がば回れって言いますし。

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