普段はサバゲーの技術について書いているのですが、本稿ではそれらを全部すっ飛ばして「強い人」とはどんな人なのかという特徴に迫ってみようと思います。
共通する原則はS.A.S.(Speed, Aggression, Surprise)への耐性とS.A.S.の活用です。
冷静
隣りの人が撃たれても周りをキョロキョロしたりせず、淡々とリスクの高い場所を射程範囲に収めています。
冷静に立ち回ることの意味を理解したとき、サバゲーの実力は一つの壁を越えて進歩し始めます。
冷静さはすべての動作と判断をスマートに行うための基礎です。強い人は冷静に状況を分析し、どこまでなら被弾せずに動けるか、どの相手とならば比較的低リスクで撃ち合うことができるかを判断します。
そのように判断して動けている人を観察し、模倣し始めたとき、それまで無我夢中で弾をばらまいていたサバゲーから一皮むけて新しい世界が見えてきます。
視野が広い
動物としての人間の視野各は180°から200°ありますが、このうち、実際に事象をある程度正確に認知できる「有効視野角」は最大でも20°です。その中でもしっかりと焦点の合っている角度は1~2°しかありません(シンク出版)
つまり、サバゲー中に我々がサイトを覗きこんで一点を見つめているとき、どんなに多く見積もっても20°以上の視覚情報は入手することが難しくなっています。
そんな中で強い人は確実に20°以上の情報に基づいて状況を判断、行動しています。
視野、もとい周辺情報は眼だけで確保するものではありません。見た味方の動きの記憶、仲間とのコミュニケーション、様々な音から実際に目に見えている以上の風景を把握することができます。
強い人はそのようにして眼で見えている以上の周辺情報を把握し、それに基づいて戦っています。
「さっき右に展開した仲間が生きているということは○○のバリケードに敵はいない。だからあと30cm右に体を出しても大丈夫だ」というように判断しています。
筆者はそんなに冷静じゃないので「俺が炭鉱のカナリアだ。俺がダメならみんなそこで止まってくれ」と言い残して突っ込みます。
精確
これができる人は状況分析の結果を的確にアウトプットできる人です。
アウトプットの形は敵への牽制射撃や仲間を動かす声掛け、自分の居場所の変更などいろいろあります。精確さは、どのような行動を取るべきかを的確に判断する能力と言い換えてもよいでしょう。
的確な行動が何であるかを判断するためには、冷静に広い視野で集めた情報を、経験と知識に基づいて分析する能力が必要です。経験と知識は、言うまでもなくたくさんサバゲーをやって培われるものです。
素早い
素早い動作によって冷静な判断の中にも生じる隙を最小限に抑制することができます。
バリケードから顔を出す時間を最小限にする。リロード時間を最小限にする。最短時間で銃を構える。味方が倒されたときに瞬時にポジションを変える。それらの動作を素早く行うことで随所の被弾リスクを最小限に抑えています。
サバゲーには「これをやれば絶対に勝てる!」という必勝法はありませんが、あらゆる技術を一つずつ洗練させて積み上げていくことで1%ずつでも生存率を高められるゲームです。
銃で撃たれれば誰でも死ぬのに軍隊で過酷な訓練をするのは、1%ずつ死亡率を抑える技術を積み重ねることで兵士の死亡率を大幅に低減できることが分かっているからです。
素早さはそんな技術の積み重ねの結晶です。
大胆
この大胆さが、最初に述べたS.A.S.の中でサバゲーにおいて最も大切なSurpriseを生むことになります。
撃ち合いの中に一瞬見えるスタンスなどから相手の癖を読み、相手の死角へと回り込みます。相手がそんなところにいるはずがないと思ったところから顔を出す。普通に考えれば撃たれてしまうようなところを堂々と歩いて敵陣に入り込めてしまうのは、冷静な観察と経験から来る判断の賜物です。
一見まぐれで決まっているように見える裏取りは、冷静沈着なアタッカーが静かに敵陣に浸透しているから発生するのです。